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ブライダルプロデューサー 藤田徳子の幸せ会議(BRIDAL PRODUCER NORIKO'S NOTE)

記聞(気分)売り手が満足する「顧客満足」か? 買い手が満足する「顧客満足」か?

「顧 客満足」(CS=Customer Satisfaction)というコトバが世に出回って久しいが、ほとんどの場合、商品やサービスを提供する側、つまり売り手が「『顧客』は『満足』して いるであろう」という憶測のもと、顧客満足主義を提唱しているのではないでしょうか。

清酒、焼酎など酒類の製造販売を行う酒造メーカーA社での話 です。ロングベストセラーの焼酎のパッケージ(瓶を包む紙)を巡って、長年、製造部門と営業部門が真っ向から対立していました。製造部門の主張は「製造部 門の繁忙期は、正社員が休日返上で残業するだけでは追いつかず、季節従業員も動員されるなど、人件費が大幅に嵩み、部門の成果効率が上がらない。お客様に 既に支持されている商品だから、パッケージに手間やコストをかけなくても、味で『顧客満足』を実現できている。効率向上、コスト削減のため、この際、包み 紙はなくすべきだ。」と。一方、営業部門の主張は「目立つ包み紙があるからこそ、よく売れている。お客様の印象に強く残り、商品名を忘れても個性的なパッ ケージがあればこそ、また手にしてくれる。包み紙は絶対なくすべきではない」と。

「社内での議論では埒が明かない。お客様が『何』に満足して当社の商品を購入してくれているのかを測る必要がある。」と、A社の社長は思い切って購入客にアンケートを実施しました。

お客様のアンケート結果は、「包み紙をなくすべきだ!」51%、「包み紙はあるべきだ!」49%。製造部門の主張に、僅差で軍配が上がりました。数値結果よりも興味深いのは、ほとんどの回答者が理由欄にコメントを記入してくれたという事実です。

「包 み紙をなくすべきだ」と回答したお客様の大多数が「包み紙はゴミを増やすから環境に優しくない、A社の経営理念に反しているではないか」と。「包み紙をな くすべきではない」と回答したお客様の大多数が「包み紙があることで紫外線から中身のお酒が守られている、客の手元に届くまで商品を大切に扱うA社の優し さを感じる」と。つまり、エコロジー重視派とクオリティー重視派で意見が二分したということです。売り手であるA社では「包み紙をなくすべき」、「包み紙 をなくすべきではない」と単純な我田引水の論争を繰り広げていましたが、それ以上にお客様は、見識ある高度な考えをお持ちだったのです。

結局、A 社では、包み紙は継続することになりましたが、パッケージに一文「この包み紙は、お酒の品質を守るために使用しています」と追記することにしました。「包 み紙をなくす」ことを支持していた製造部門も、商品の品質を保証する自らの責務を改めて見直すに至りました。「包み紙を残す」ことを支持していた営業部門 も、自分たちの顧客満足を追求する姿勢は、お客様の真の購買欲をくすぐっていなかったことを実感することに至りました。アンケートを実施することで、「顧 客満足」度の向上はもちろんのこと、A社の社員の意識改革まで達成できたのです。

私たちは「顧客満足」主義を大上段に掲げていながら、商品、サービスそのものだけで実質的にお客様を満足させることが出来ているのでしょうか。得てして、私たち、売り手の「都合」のもとに、お客様に我慢を強いてはいないでしょうか。

先 日、お詫びに伺った〇○様ご夫妻から、このようなご指摘をいただきました。「ブライダルアルバムは、物に過ぎない。でも、我々夫婦にとっても、フェア リー・テイルにとっても単なる"モノ"ではないのではないか。ブライダルアルバムというカタチを借りて、結婚する僕たちと結婚式を創ったブライダルプロ デューサーの"心"を表現しているのではないか。生涯の思い出になる大切なアルバムの納期遅れは言語道断、その上、"心"が宅配便の不在票で片付けられた ことが、大変遺憾だ。」と。

私は、この厳しいご指摘を「フェアリー・テイルは、お客様の心をカタチにする立派なブライダルプロデュース会社であ る。従って、フェアリー・テイルのスタッフは、社会経済人としてのルールやマナーを遵守することはもちろんのこと、お客様に対し心の通った対応ができるは ず。」という信頼感に裏付けられた心あるお言葉だと受け取りました。
一方で、○○様の担当をしたスタッフの●●さんの考えは、こうだったのです。「納期は、 常に気がかりだったが、もっと良いものができるのではないかとクオリティー重視で考えていた。時間ばかりが経過してしまった。納期の大幅な遅延に対してお 詫びの言葉も見つからず、また一刻も早くお客様の手元に届けなければという気持ちが先行していた。」と。

「顧客満足」というコトバは、私たち売り手の主観に過ぎない、売り手の自己満足に留まる場合が多いことを認めざるを得ません。「顧客満足」を謳うことに陶酔していると言っても過言ではないのです。

私たちが提供している商品やサービスは、お客様からみれば、満足して極あたり前のことなのです。前述のA社で言えば、「味のよい焼酎」、「商品名を忘れても購入できるパッケージ」、当社の事例で言えば、「クオリティーの高いアルバム」、「納期厳守のサービス」です。

お客様は更に付加価値の高い商品、サービスを求めているのです。○○様ご夫妻の愛あるお叱りのお言葉でも伝わるように、時には、商品、サービスに留まらず、企業の理念や社会使命、そして私たちそのものの振る舞いや人間味にまで、満足するか否かの対象が広がっているのです。

だ からこそ、「お客様は、これなら満足するだろう」とか「今度こそ、喜んでくれるだろう」と憶測するだけでは往々にして判断を間違えてしまうのです。A社の 事例の通り、勇気を持ってお客様に真意を尋ねる、お客様の厳しいお声にも耳を傾けることこそ、私たちの成長のチャンスなのです。

お客様は、売り手が掲げる「顧客満足」主義に乗っかり胡坐をかいていらっしゃるのではありません。私たちを愛して、信頼してくれていることを忘れてはなりません。その上で、私たちに「もっと!」と期待を寄せてくれているのです。

私自身も、皆さんを愛し、信頼し、「もっと!」と期待しています。

以上

平成21年7月1日
藤田徳子

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